山形県酒田市にある「海向寺(かいこうじ)」。
テレビや雑誌などで「即身仏(そくしんぶつ)」の存在を知り、このお寺に興味を持った方も多いのではないでしょうか。
「即身仏が見られると聞いたけれど、実際どんなお寺なの?」
「2体も安置されているって本当?怖くない?」
「拝観料や駐車場、アクセス方法を事前に知っておきたい」
そんな疑問や不安を抱えている方もいるかもしれません。
結論から言うと、海向寺は「日本で唯一」2体の即身仏を同時に拝観できる、国内でも極めて貴重なパワースポットです。
厳しい修行の末に仏となられたその姿は、怖いというよりも、人々の安寧を願う深い慈悲に満ちています。
この記事では、海向寺への訪問を検討している方に向けて、以下の内容を詳しく解説します。
- 海向寺に安置されている2体の即身仏の歴史と特徴
- 境内にある必見の見どころスポット
- 拝観料や拝観時間などの基本情報
- 迷わず行けるアクセス方法と駐車場情報
海向寺の魅力を余すことなく紹介しますので、ぜひ旅の計画にお役立てください。
海向寺とは?日本で唯一「2体の即身仏」を祀るお寺
山形県酒田市の高台に位置する海向寺は、真言宗智山派の寺院であり、1200年以上の歴史を持つ由緒ある古刹です。全国には十数体の即身仏が現存していますが、ひとつの寺院に2体の即身仏が祀られているのは、日本広しといえどもこの海向寺だけです。
全国でもここだけ!2体の即身仏が並ぶ理由
通常、即身仏となられる修行僧は、その地域やお寺にとって唯一無二の存在であることがほとんどです。しかし、海向寺には「忠海上人(ちゅうかいしょうにん)」と「円明海上人(えんみょうかいしょうにん)」という2体の即身仏が安置されています。
これは、同じお寺の住職を務めた師弟のような関係性(実際の師弟ではなく、時代を超えた法統の継承)にある二人が、それぞれ衆生救済という強い志を持ち、過酷な修行の末に仏となることを選んだためです。同じ堂内に2体の仏様が並ぶ姿は圧巻であり、その空間には厳粛で清らかな空気が流れています。
そもそも「即身仏」とは?ミイラとの違い
即身仏と聞いて「ミイラ」を連想する方もいますが、その成り立ちや精神性は大きく異なります。古代エジプトなどのミイラは、権力者が死後の世界での復活を願い、死後に人工的な防腐処理を施して保存されたものです。
一方、即身仏は「生きている間に」極限まで食事を制限する木食行(もくじきぎょう)を行い、体内の脂肪や水分を落とし、漆などを飲んで腐敗を防ぐ体を作ります。そして、生きたまま土中の石室に入り、鐘を鳴らして読経を続けながら永遠の瞑想に入ります。つまり、自らの命を犠牲にしてでも、飢饉や病気に苦しむ人々を救いたいという「利他」の精神が根本にあるのです。
海向寺の即身仏「忠海上人」と「円明海上人」
海向寺で拝観できる2体の上人は、それぞれ異なる出自を持ちながらも、同じ願いを持って即身仏となりました。
庄内藩士出身「忠海上人」の生涯と願い
忠海上人は、もともとは庄内藩の武士でした。俗名を富樫忠太夫といいます。彼が生きた時代、人々は飢饉や疫病に苦しめられていました。その惨状を目の当たりにした忠海上人は、武士の身分を捨てて仏門に入り、海向寺の中興の祖となりました。
彼は一千日間の山籠り修行など厳しい難行を重ねた後、1755年(宝暦5年)、58歳で入定(にゅうじょう:即身仏となるために土に入ること)されました。自身の苦行によって、人々の苦しみを取り除こうとしたその生涯は、武士らしい潔さと深い慈悲に溢れています。
農家出身「円明海上人」の生涯と願い
円明海上人は、忠海上人の入定から遅れること数十年、地元の農家の出身です。彼は忠海上人の偉業と徳を慕って海向寺に入り、忠海上人と同じ道を歩むことを決意しました。
彼もまた木食行などの厳しい修行に耐え、1822年(文政5年)、55歳で入定しました。彼が即身仏となる際に入った木棺も現存しており、その覚悟の強さを今に伝えています。出身身分が異なっても、人々を救いたいという志は共通しており、2体の上人は今も並んで参拝者を見守っています。
12年に一度の衣替えと特別なお守り
即身仏が身にまとっている法衣は、12年に一度、丑(うし)年のご縁日に「衣替え」が行われます。古い衣は細かく裁断され、お守りの中に入れられます。
このお守りは、長い年月、上人と共にあり法力を宿していると考えられており、健康長寿や魔除けのご利益があるとして非常に人気があります。衣替えの時期や、衣が入ったお守りの有無については、参拝時に確認してみるのも良いでしょう。
即身仏だけじゃない!海向寺の境内と見どころ
海向寺の魅力は即身仏だけではありません。境内には他にも多くのパワースポットや見どころが点在しています。
女性の守り神「粟島観音堂」で縁結び・安産祈願
境内にある粟島観音堂(あわしまかんのんどう)は、女性の守り神として古くから信仰を集めています。婦人病の平癒や、良縁、安産、子宝など、女性特有の悩みに寄り添ってくれる仏様です。
地元の方だけでなく、遠方からも多くの女性参拝客が訪れ、静かに手を合わせる姿が見られます。お堂の前には奉納された願掛けの品などもあり、篤い信仰を感じることができます。
本尊「胎蔵界大日如来」と「さすり仏」
海向寺の本尊は、胎蔵界大日如来(たいぞうかいだいにちにょらい)です。即身仏堂とは別の本堂に祀られており、その慈愛に満ちた表情は必見です。
また、境内には「なで仏(さすり仏)」と呼ばれる賓頭盧(びんずる)尊者の像があります。自分の体の悪い部分と同じ場所を撫でると、その箇所が良くなると伝えられています。肩や腰、足など、参拝者がそれぞれの願いを込めて撫でたため、像の一部はつるつるになっています。
映画『おくりびと』ロケ地が目の前!日和山公園も隣接
海向寺は、酒田市を代表する観光スポット「日和山(ひよりやま)公園」に隣接しています。ここは、アカデミー賞を受賞した映画『おくりびと』のロケ地としても有名です。
お寺のすぐそばからは、酒田港や日本海を一望でき、特に夕日の美しさは絶景です。海向寺で心を整えた後、日和山公園を散策して映画の世界観や壮大な景色を楽しむコースは、観光客に大変おすすめです。
海向寺の御朱印とお守り
参拝の証として、御朱印やお守りを授かるのも旅の楽しみの一つです。
迫力ある「即身仏」の御朱印
海向寺では、本尊の大日如来の御朱印のほかに、即身仏に関する御朱印も頂くことができます。力強い筆致で書かれた御朱印は、2体の上人のエネルギーを感じさせるような迫力があります。御朱印帳を持参して、旅の記念に記帳していただきましょう。
即身仏の衣が入った貴重なお守り
先述した通り、即身仏が実際に身につけていた衣の一部を封入したお守りは、海向寺ならではの授与品です。数に限りがある場合もありますが、身代わり守りや健康長寿のお守りとして、ご自身用や大切な方への贈り物として選ばれています。
海向寺の拝観料・営業時間・所要時間
訪問前に確認しておきたい基本情報をまとめました。
拝観時間と定休日
海向寺の拝観時間は、通常午前9時から午後4時(または5時)頃までとなっていますが、季節によって変動することがあります。特に冬場は閉門時間が早まる場合があるため注意が必要です。
定休日は毎週火曜日が基本となっています。また、1月1日から3日のお正月期間や、お寺の行事がある日は拝観できない場合もありますので、遠方から訪れる際は事前に電話などで確認することをおすすめします。
拝観料金
即身仏が安置されている即身仏堂(本堂)への拝観には料金がかかります。
一般的な目安として、大人は500円から700円程度です。学生や子供料金の設定もあります。この拝観料は、貴重な即身仏や文化財を後世に守り伝えていくための維持管理費として使われます。
所要時間の目安
即身仏堂でお寺の方の説明を聞きながら拝観する場合、所要時間は30分から40分程度を見ておくと良いでしょう。境内全体をゆっくり散策し、日和山公園まで足を伸ばす場合は、1時間から1時間半ほどの時間を確保しておくと、焦らずに楽しめます。
アクセスと駐車場情報
海向寺は高台にありますが、アクセスは比較的良好です。
車でのアクセスと駐車場(第1・第2)
車で訪れる場合、山形自動車道「酒田IC」から約15分から20分ほどで到着します。
駐車場は、お寺のすぐそばに第1駐車場と第2駐車場が完備されています。無料で利用できますが、道幅がやや狭い坂道を登る箇所もあるため、運転には十分ご注意ください。カーナビを設定する際は、海向寺の電話番号または住所(山形県酒田市日吉町2-7-12)を入力するとスムーズです。
酒田駅からのバス・タクシーでの行き方
公共交通機関を利用する場合、最寄り駅はJR羽越本線の「酒田駅」です。
- バスの場合:酒田駅前から庄内交通バスまたは市営るんるんバスに乗り、「寿町」や「日和山公園」などのバス停で下車し、そこから徒歩数分です。
- タクシーの場合:酒田駅からタクシーを利用すると、約5分から10分程度で到着します。坂道を歩くのが不安な方や、時間を有効に使いたい方はタクシーの利用が便利です。
日本で唯一、2体の即身仏に出会える海向寺。その崇高な姿と歴史に触れる旅へ、ぜひ出かけてみてください。
案内人より一言

堂内に2体の即身仏が並ぶ光景は圧巻です。








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