東京・両国といえば相撲の聖地として有名ですが、その歴史を語る上で欠かせない場所が「回向院(えこういん)」です。
両国観光や歴史散策を計画している方の中で、このような疑問をお持ちの方はいませんか?
- 「回向院ってどんなお寺なの?何が有名なの?」
- 「相撲やねずみ小僧と関係があるって本当?」
- 「ご利益や見どころを事前に知って、観光を楽しみたい」
結論からお伝えすると、回向院は「相撲興行発祥の地」であり、勝負運や合格祈願のパワースポットとしても知られる、見どころ満載の名刹です。
江戸時代の大火をきっかけに開かれたこのお寺は、無縁仏から動物、さらには義賊・ねずみ小僧まで、あらゆるものを分け隔てなく供養してきた慈愛の精神と、ユニークな歴史が息づいています。
そこで本記事では、回向院の深い歴史や知られざる魅力、必ず見ておきたい見どころ、そして現地への行き方までを徹底的に解説します。
この記事を読めば、回向院の楽しみ方が分かり、両国散策がより充実したものになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
東京・両国の名刹「回向院」とは?
回向院は、東京都墨田区両国にある浄土宗の寺院です。正式名称を「諸宗山 無縁寺 回向院」といいます。両国駅から徒歩数分という立地にありながら、静寂と歴史の重みを感じさせるこの場所には、江戸時代から続く深い慈愛の物語があります。
回向院の歴史と由来:明暦の大火と無縁仏供養
回向院の歴史は、1657年(明暦3年)に発生した「明暦の大火(振袖火事)」に始まります。この未曾有の大火災により、江戸の町は壊滅的な被害を受け、10万人以上とも言われる尊い命が失われました。
当時の将軍・徳川家綱は、身寄りがなく引き取り手のいない多くの遺体を弔うため、隅田川の東岸にあたるこの地に「万人塚」という巨大な墓所を築きました。そして、あらゆる霊を供養するために御堂が建てられたのが回向院の起源です。このように、回向院は災害で亡くなった多くの無縁仏を供養するために誕生したお寺であり、その始まりから人々の悲しみに寄り添う場所でした。
宗派と「有縁・無縁に関わらず」という理念
回向院は浄土宗に属していますが、その設立の経緯から、「有縁・無縁に関わらず、人・動物に関わらず、生あるすべてのものを供養する」という独自の理念を大切にしています。これは「諸宗山無縁寺」という山号や寺号にも表れており、宗派や身分、さらには人間か動物かという垣根さえも越えた、広く開かれた慈悲の心を示しています。現在でも、宗旨宗派を問わず多くの人々が参拝に訪れるのは、この分け隔てない精神が受け継がれているからです。
回向院のご利益と有名な特徴
回向院には、その歴史的背景から生まれたユニークな特徴と、それにまつわるご利益がいくつか存在します。ここでは特に有名な3つの特徴について解説します。
「相撲興行発祥の地」としての勝負運
現在の両国が「相撲の街」として知られるようになったのは、実は回向院がきっかけです。江戸時代、お寺の再建や修繕費用を集めるための「勧進相撲」が回向院の境内で行われるようになりました。天保4年(1833年)以降は、回向院が相撲の定場所となり、明治時代に初代・国技館が建設されるまでの76年間、ここで熱戦が繰り広げられました。
この歴史から、回向院は相撲興行発祥の地とされ、境内には歴代力士を慰霊する石碑も建てられています。数々の名勝負が生まれた場所であることから、現在では勝負運や心願成就のパワースポットとしても人気を集めています。
義賊「ねずみ小僧」の墓と金運・合格祈願
回向院のもう一つの大きな特徴は、江戸時代の有名な義賊「ねずみ小僧次郎吉」のお墓があることです。大名屋敷から千両箱を盗み出し、貧しい人々に分け与えたという伝説を持つ彼は、長年捕まらなかったことから「運が良い」「するりと逃げる(難関を突破する)」象徴とされています。
そのため、現在では金運アップのご利益はもちろんのこと、「狭き門を通り抜ける」という意味で、受験生や就職活動中の人々による合格祈願の対象としても信仰を集めています。
あらゆる生き物を供養する「動物供養」の歴史
回向院は、日本で最も古い時期から動物供養を行っている寺院の一つとしても知られています。その起源は、前述の明暦の大火の際、人だけでなく多くの動物たちも一緒に焼死したことを憐れみ、供養したことに遡ります。
以来、馬や犬、猫、小鳥など、さまざまな動物の霊を慰めるための供養塔が建てられてきました。現在でもペットの供養やお墓の相談に訪れる人が絶えず、境内には動物たちへの愛と感謝の想いが溢れています。
境内を巡ろう!回向院の主な見どころ
回向院の境内には、歴史を感じさせる石碑やユニークな参拝スポットが点在しています。訪れた際にぜひチェックしておきたいポイントを紹介します。
削ってご利益を持ち帰る「ねずみ小僧の墓(次郎吉の墓)」
多くの参拝者が訪れるのが、ねずみ小僧のお墓です。このお墓には、「墓石を削ってその粉をお守りとして持ち帰る」という珍しい風習があります。長年捕まらなかった強運にあやかるためと言われています。
現在では、文化財である本物の墓石を保護するため、墓前に削る専用の「お前立ち(身代わりの石)」が設置されています。備え付けの石でガリガリと削り、その粉を紙に包んで財布や筆箱に入れることで、金運や勝負運のご利益をいただけるとされています。
歴代力士を慰霊する「力塚」
参道を入ってすぐ右手に見える大きな石碑が「力塚」です。これは昭和11年に大日本相撲協会(現在の日本相撲協会)によって建立されたもので、歴代の年寄(親方)や力士たちの霊が祀られています。相撲興行発祥の地としての誇りと、力士たちへの敬意が込められたこの碑は、相撲ファンならずとも一見の価値があります。
願いが叶うといわれる「塩地蔵」
境内の一角にある「塩地蔵」も人気の参拝スポットです。お地蔵様の体の悪い部分に塩を塗って祈願すると、病気平癒のご利益があると言われています。また、願い事が叶った際には、お供えした塩の倍の量を返礼するという習わしがあります。多くの塩が供えられている様子からも、その信仰の篤さがうかがえます。
さまざまな動物の慰霊碑(猫塚・オットセイ供養塔など)
動物供養を大切にする回向院ならではの見どころとして、多種多様な動物の慰霊碑があります。「猫塚」は、文豪・夏目漱石の愛猫の墓所があったことでも知られています(現在は供養塔のみ)。また、明治時代に捕獲されたオットセイを供養する「オットセイ供養塔」や、小鳥、犬猫の供養塔など、人間以外の生き物に対しても手厚く供養が行われてきた歴史を肌で感じることができます。
近代的で美しい「本堂」と壁画
歴史ある石碑とは対照的に、現在の本堂は非常に近代的でスタイリッシュな建築が特徴です。2016年に再建されたこの本堂は、半屋外のような開放的な空間を持ち、参拝者が気軽に立ち寄れる雰囲気を作っています。また、敷地内の壁面には仏教の世界観を表した美しい壁画が描かれたり、夜にはライトアップされたりと、現代的なアプローチで仏教の教えを伝えています。
回向院の御朱印とお守り
参拝の証として人気の御朱印やお守りについても紹介します。
いただける御朱印の種類と受付時間
回向院では、主に御本尊である「阿弥陀如来」の御朱印や、准秩父三十四観音霊場の「馬頭観世音」の御朱印などをいただくことができます。力強い筆致で書かれた御朱印は、参拝の良い記念になります。御朱印の受付は、寺務所にて行われています。時間は通常9:00から16:30頃まで対応していますが、行事等により変更になる場合もあるため、事前に確認するか、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
人気のお守り・絵馬・授与品
授与品の中で特に人気が高いのは、やはり「ねずみ小僧」に関連するものです。勝負運や金運を願うお守りや、合格祈願の絵馬などが用意されています。また、動物供養に力を入れているお寺らしく、ペットの健康長寿を願うお守りも充実しており、愛犬家・愛猫家の方々に喜ばれています。
回向院へのアクセスと基本情報
回向院への訪問をスムーズにするための基本情報をまとめました。
住所・拝観時間・拝観料
- 住所:東京都墨田区両国2-8-10
- 拝観時間:開門時間は季節によって多少前後しますが、基本的には9:00~17:00頃まで境内に入ることができます。
- 拝観料:境内への入場は無料です。誰でも自由に参拝することができます。
電車での行き方(JR両国駅・都営大江戸線両国駅)
回向院は駅から非常に近く、アクセスが便利です。
- JR総武線「両国駅」から:西口改札を出て左へ進み、大通り(京葉道路)へ出ます。交差点を渡ってすぐ、徒歩約3分で到着します。
- 都営大江戸線「両国駅」から:少し距離がありますが、徒歩約10分程度です。清澄通りを南下し、京葉道路との交差点を右折すると見えてきます。
駐車場について
回向院には一般参拝者用の専用駐車場は基本的に用意されていません。周辺は交通量も多いため、公共交通機関の利用が推奨されています。もし車で訪れる場合は、近隣のコインパーキングを利用するようにしましょう。
回向院とあわせて行きたい両国周辺スポット
回向院の参拝後には、両国の他の観光スポットも合わせて巡るのがおすすめです。
相撲の聖地「両国国技館」
JR両国駅を挟んで反対側に位置するのが、大相撲の本場所が開催される「両国国技館」です。本場所中でなくても、相撲博物館や売店を楽しむことができます。回向院で相撲の歴史に触れた後に訪れると、より感慨深いものになるでしょう。
心安らぐ大名庭園「旧安田庭園」
両国国技館のすぐ裏手にあるのが「旧安田庭園」です。かつての大名屋敷の庭園であり、池を中心とした美しい景観を楽しむことができます。都会の喧騒を忘れて一息つきたい時に最適なスポットです。
葛飾北斎の世界に触れる「すみだ北斎美術館」
両国は、世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎が生まれ、生涯の多くを過ごした地でもあります。回向院から徒歩圏内にある「すみだ北斎美術館」では、北斎の作品やその生涯を深く学ぶことができます。斬新な建築デザインも見どころの一つです。
まとめ
回向院は、明暦の大火という悲しい歴史から始まり、無縁仏や動物たち、そして義賊・ねずみ小僧まで、あらゆる存在を優しく受け入れてきた慈愛のお寺です。
相撲発祥の地としての歴史的背景や、石を削って願掛けをするユニークな体験など、他の寺院にはない魅力がたくさん詰まっています。
両国を訪れる際は、ぜひ回向院に足を運び、その深い歴史とご利益を肌で感じてみてください。
案内人より一言

本堂がオシャレでびっくりしますが、歴史のある素敵なお寺です。








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