「SNSで見かける『ハートの窓』が可愛い正寿院(しょうじゅいん)。一度は行ってみたいけれど、京都のどこにあるの?」「窓以外にも見どころはあるの?アクセスが大変そう…」
京都旅行の計画を立てる中で、このように気になっている方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、正寿院は「幸せを呼ぶ窓」や「天井画」をはじめ、四季折々の美しい風景に癒やされる、京都屈指のフォトジェニックスポットです。少し足を延ばしてでも訪れる価値は十分にあります。
この記事では、正寿院へ行く前に知っておきたい以下のポイントを詳しく解説します。
- 正寿院ならではの歴史と特徴
- 絶対に見逃せない「猪目窓(ハートの窓)」や「天井画」の魅力
- 風鈴まつりなど、季節ごとの楽しみ方
- 車・公共交通機関を使った迷わないアクセス方法
記事を読み終える頃には、正寿院を120%楽しむためのプランが明確になっているはずです。ぜひ最後までご覧ください。
正寿院(しょうじゅいん)とは?800年の歴史を持つ京都の古刹
京都府の南部、宇治田原町(うじたわらちょう)にある正寿院は、高野山真言宗に属する由緒ある寺院です。SNSでの可愛らしい写真が話題となり、近年では若い世代や女性を中心に多くの参拝者が訪れますが、その歴史は古く、創建はおよそ800年前まで遡ります。
正寿院の歴史と由緒
正寿院は鎌倉時代の初期、飯尾山医王教寺(いおうきょうじ)の塔頭として建立されたと伝えられています。御本尊には50年に一度だけ扉が開かれる秘仏「十一面観音」が祀られており、厳かな空気が漂います。また、鎌倉時代の名仏師・快慶(かいけい)の作とされる「不動明王坐像」も安置されており、国の重要文化財に指定されています。このお不動様は、一般的な怒りの表情とは少し異なり、目を見開いた迫力の中にもどこか親しみやすさを感じさせるお姿が特徴です。
厄除けと招福のご利益
古くからこの地で信仰を集めてきた正寿院は、厄除けや招福のご利益があるとして親しまれてきました。特に、後述する「猪目(いのめ)」という文様には災いを除き福を招く意味が込められており、良縁祈願や家庭円満を願う人々にとってのパワースポットともなっています。静かな山間に佇む境内は、心を清め、新たな活力を得るのに最適な場所と言えるでしょう。
お茶の郷「宇治田原町」の魅力
正寿院が位置する宇治田原町は、「日本緑茶発祥の地」として知られています。江戸時代にこの地で永谷宗円(ながたにそうえん)が、現在の緑茶の製法である「青製煎茶製法」を考案しました。お寺へ向かう道中には美しい茶畑の風景が広がり、お茶の香りが漂うのどかな雰囲気を楽しむことができます。正寿院の拝観時には、この地ならではのお茶とお菓子のおもてなしを受けることができ、宇治茶の深い味わいに触れることも旅の醍醐味の一つです。
正寿院のシンボル!幸せを呼ぶハートの窓「猪目窓(いのめまど)」
正寿院を訪れる多くの人々のお目当てが、客殿(きゃくでん)にあるハート型の窓「猪目窓(いのめまど)」です。この窓は単に可愛いだけでなく、日本の伝統と四季の美しさが凝縮された特別な場所です。
伝統文様「猪目」に込められた意味とは
一見すると現代的なハートマークに見えるこの形ですが、実は「猪目(いのめ)」と呼ばれる日本古来の伝統文様です。その名の通り、イノシシの目の形に由来しています。イノシシは火伏せの神様とされる愛宕様の使いであることから、古くから神社仏閣の建築装飾において、火災除けや魔除けの意味を込めて使われてきました。つまり、この愛らしい形には、災いを除き福を招くという力強い祈りが込められているのです。
桜・新緑・紅葉・雪景色…四季折々の窓の風景
猪目窓の最大の魅力は、窓枠を通して見える景色が季節ごとに劇的に変化することです。春には満開の桜が窓をピンク色に染め、夏には鮮やかな新緑が生命力を感じさせます。秋になれば燃えるような紅葉が窓を赤く彩り、冬にはしっとりとした雪景色が白銀の世界を作り出します。どの季節に訪れても、その時だけの「一期一会」の風景に出会うことができるでしょう。
夕暮れ時に現れる「幸せのハートの影」
特定の条件が揃った時にだけ見られる奇跡のような光景があります。それは、夕暮れ時に西日が差し込むことで、猪目窓の形が室内の床にハート型の影として映し出される現象です。この影は「幸せのハートの影」や「幸せのおかげ」と呼ばれ、見ることができれば幸運が訪れるとも言われています。特に8月下旬から9月中旬頃の午後4時前後が、美しい影が現れやすいタイミングとされています。
インスタ映えする撮影のポイント
猪目窓を美しく撮影するためには、カメラやスマートフォンの位置を工夫してみましょう。立ったまま撮影するのではなく、床に近い低い位置(ローアングル)から構えると、窓の形と外の景色がきれいに収まります。また、窓の外の景色にピントを合わせることで、シルエットとしての窓枠が強調され、幻想的な一枚になります。着物で訪れた際は、窓の横に座ってシルエットを撮影するのも素敵です。
圧巻の美しさ!160枚の「天井画」を見上げよう
猪目窓がある客殿「則天の間(そくてんのま)」に入ると、まず目に飛び込んでくるのが天井一面を埋め尽くす色彩豊かなアートです。
花と日本の風景が描かれた極彩色のアート空間
天井には、正方形に区切られた160枚もの絵画が敷き詰められています。これらは本堂の天井画復興事業として、多くの日本画家や書家の協力によって描かれました。テーマは「花と日本の風景」。椿や桜、紫陽花といった四季折々の花々や、日本の伝統的な風景が鮮やかな色彩で表現されており、まるで万華鏡の中にいるかのような華やかな空間が広がっています。
天井画に隠れた「四神」と「舞妓さん」を探そう
160枚の絵の中には、いくつか特別な絵柄が隠されています。東西南北を守護する「青龍(せいりゅう)」「白虎(びゃっこ)」「朱雀(すざく)」「玄武(げんぶ)」の四神が四隅に配置されているほか、京都らしい「舞妓(まいこ)さん」の絵が4枚隠れています。美しい天井画を眺めながら、これらの絵柄を探すのも正寿院ならではの楽しみ方です。
寝転んで眺める贅沢な時間
お寺の本堂や客殿では静かに座って過ごすのが一般的ですが、正寿院の則天の間では、なんと仰向けに寝転んで天井画を眺めることが許されています。畳の上に寝転び、視界いっぱいに広がる美しいアートを見上げれば、心が洗われるような贅沢な時間を過ごせます。ただし、混雑時には周囲への配慮を忘れずに、譲り合って楽しみましょう。
夏の風物詩「風鈴まつり」と季節のイベント
正寿院は別名「風鈴寺」とも呼ばれるほど、夏の風鈴まつりが有名です。しかし、魅力的なのは夏だけではありません。季節ごとに異なる表情を見せるイベントも見逃せません。
2000個超が涼を奏でる「風鈴まつり」の見どころ
毎年6月から9月頃にかけて開催される「風鈴まつり」では、境内に2000個を超える風鈴が飾られます。宇治田原町は京都市街地よりも気温が5度ほど低い避暑地であり、風鈴の涼やかな音色と相まって、五感で涼を感じることができます。期間中は、時期によって「あじさい風鈴」「ひまわり風鈴」「コスモス風鈴」など、風鈴の中に季節の花をあしらった「花風鈴」が登場し、写真映えも抜群です。また、全国47都道府県のご当地風鈴が展示されるコーナーもあり、音色や形の違いを楽しむことができます。
期間限定のライトアップや夜間拝観
風鈴まつりの期間中や紅葉のシーズンなどには、期間限定でライトアップや夜間拝観が行われることがあります。昼間の明るく爽やかな雰囲気とは一変し、闇夜に浮かび上がる猪目窓や風鈴は幻想的で神秘的な美しさを放ちます。これらの特別拝観は事前予約が必要な場合が多いため、訪問前に公式サイトでの確認をおすすめします。
春の桜、秋の紅葉も見逃せない
正寿院の境内は、春には桜の名所として、秋には紅葉の名所としても知られています。特に春の桜は、猪目窓を通して見るだけでなく、境内の地蔵堂周辺に咲き誇る姿も見事です。秋には周辺の山々が色づき、ドライブがてら訪れるのにも最適な季節となります。
正寿院のかわいい御朱印と授与品
参拝の証として頂ける御朱印や授与品も、正寿院らしい工夫と可愛らしさに満ちています。
季節や月ごとに変わる限定御朱印
正寿院の御朱印は種類が豊富で、デザイン性の高さが人気です。ご本尊の「十一面観音」や「不動明王」の御朱印に加え、季節の花や行事をモチーフにした月替わりの限定御朱印が用意されています。中には見開きでデザインされたアートのような御朱印もあり、御朱印帳に彩りを添えてくれます。
参拝の証に結ぶ「叶紐(かのうひも)」
拝観受付を済ませると、パンフレットと共にかわいらしい組紐を頂くことができます。これは「叶紐(かのうひも)」と呼ばれ、結び目が「口」と「十」の形になっており、合わせると「叶」という文字になることから、願いが叶う縁起物とされています。お守りとして持ち帰ることもできますが、願い事を込めて境内の地蔵堂に結んでいく参拝者も多く、カラフルな紐がたくさん結ばれた光景自体もフォトスポットになっています。
人気のお守りとオリジナルグッズ
授与所では、猪目窓をモチーフにした「ハートのお守り」や、四季の風景がデザインされたオリジナルの御朱印帳などが頒布されています。また、自分の生まれ月の誕生石を使った「腕輪数珠づくり」の体験なども行っており、自分だけの特別なお土産を手に入れることができます。
正寿院へのアクセス・行き方を徹底解説
魅力あふれる正寿院ですが、アクセスには少し注意が必要です。山間部にあるため、公共交通機関を利用する場合は事前の計画が欠かせません。
公共交通機関(電車・バス・タクシー)を利用する場合
電車で向かう場合、最寄り駅となるのはJR奈良線「宇治駅」、京阪宇治線「宇治駅」、または近鉄京都線「新田辺駅」です。いずれの駅からもバスやタクシーを利用して移動することになります。
JR宇治駅・近鉄新田辺駅からのルート詳細
土日祝日に訪れる場合は、「宇治茶バス」の利用が最も便利です。JR宇治駅や京阪宇治駅から運行されており、「正寿院口」バス停まで乗り換えなしでアクセスできます。そこからお寺までは徒歩約10分です。
一方、平日の場合は直通バスがないため、「維中前(いちゅうまえ)」バス停まで京阪バスで行き、そこからタクシーまたはコミュニティバスに乗り換える必要があります。
バス利用時の注意点とタクシー活用のすすめ
平日に利用するコミュニティバスは本数が非常に少なく、定員も限られているため、観光客にはハードルが高い場合があります。そのため、平日は「維中前」バス停からタクシーを利用するのが現実的でスムーズです。また、グループであれば、駅から直接タクシーを利用するか、MKタクシーなどが運行している「正寿院直通プラン」などを予約して利用するのも賢い選択です。
車を利用する場合と駐車場情報
マイカーやレンタカーを利用する場合は、京滋バイパス「宇治西IC」や新名神高速道路「信楽IC」などからアクセスします。山道を通るため、一部道幅が狭い箇所がありますので、運転には十分注意してください。
駐車場から境内への移動
正寿院には参拝者用の駐車場(第1・第2駐車場)が完備されており、協力金として300円程度を納めます。駐車場から境内までは徒歩ですぐの距離ですが、風鈴まつりなどの繁忙期には混雑することもあります。その際は係員の誘導に従い、臨時駐車場などを利用する場合もありますので、現地の案内に従ってください。
拝観料・営業時間・予約に関する基本情報
訪問前に必ずチェックしておきたい基本情報をまとめました。
拝観時間と拝観志納料
通常の拝観時間は、夏季(4月〜10月)が9:00〜16:30、冬季(11月〜3月)が9:00〜16:00となっています。拝観志納料は大人1000円(風鈴まつり期間などは変更になる場合があります)で、この料金にはお茶とお菓子、叶紐が含まれています。
お茶とお菓子のおもてなし(客殿則天の間)
拝観料に含まれるお茶とお菓子は、客殿の則天の間で頂くことができます。美しい天井画や猪目窓を眺めながら、宇治田原のお茶と素朴なお菓子を味わう時間は、旅の疲れを癒やす至福のひとときとなるでしょう。
事前予約が必要な時期・ケースについて
基本的には個人の拝観に予約は不要ですが、団体での訪問や、特別なイベント(貸切ライトアップやヨガ体験など)に参加する場合は事前予約が必要です。また、過去には混雑緩和のために特定の期間が予約制となった事例もあるため、風鈴まつりのピーク時やゴールデンウィークなどに訪れる際は、念のため公式サイトや公式SNSで最新情報を確認することをおすすめします。
正寿院周辺のおすすめランチ・立ち寄りスポット
せっかく宇治田原町まで来たのなら、周辺のスポットも合わせて楽しみましょう。
宇治田原町のお茶グルメ・カフェでのランチ
正寿院周辺には、お茶の産地ならではのカフェや飲食店が点在しています。古民家を改装したカフェで抹茶スイーツを楽しんだり、香り高い茶そばを味わったりすることができます。また、地元の野菜をふんだんに使ったランチを提供するお店もあり、のんびりとした里山の時間を満喫できます。お店の数は多くないため、ランチの場所は事前にリサーチしておくと安心です。
合わせて巡りたい周辺の観光名所
お茶の歴史に興味がある方は、「永谷宗円生家」を訪れてみるのがおすすめです。日本緑茶の祖・永谷宗円が過ごした場所で、製茶道具などが展示されています。また、少し足を延ばして「猿丸神社(さるまるじんじゃ)」へ参拝するのも良いでしょう。百人一首にも登場する猿丸大夫を祀る神社で、こぶ取りの神様としても知られています。
まとめ
正寿院は、800年の歴史を持つ古刹でありながら、ハート型の「猪目窓」や色鮮やかな「天井画」など、現代の感性にも響く美しさを兼ね備えた素晴らしい寺院です。四季折々の自然の変化、風鈴の涼やかな音色、そして宇治茶のおもてなしは、日常の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。
アクセスには少し工夫が必要ですが、その分たどり着いた時の感動はひとしおです。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ正寿院で心ときめく特別な時間を過ごしてみてください。
案内人より一言

SNS映えを意識しすぎているのは否めないので、それはそれとして楽しめる方におすすめのお寺です。









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